世界の“ギフトあるある”は、ぜんぜん“あるある”じゃなかった件
誕生日、記念日、結婚式、出産祝い……人生には「贈り物」が欠かせない瞬間がたくさんあります。でも、そのプレゼントの形って、実は国によってまったく違うって知っていましたか?
日本では花やギフトカードが定番でも、別の国では「それNG!」なんてことも。今回は、そんな“プレゼント事情の世界旅行”にあなたをご招待。ちょっとびっくり、でもちょっと素敵。世界のギフト文化を覗いてみましょう。
🇺🇸アメリカ編:欲しいものはあらかじめ登録済み!?ギフトは「注文制」
アメリカでは、誕生日や結婚式、ベビーシャワーなどのお祝いごとに「ギフトレジストリ」という文化があります。
たとえば、結婚するカップルがあらかじめデパートやオンラインショップで「欲しいものリスト」を作っておき、それを招待客に共有します。ゲストはその中から好きなものを選んで購入すればOK。かぶることもなく、「いらないものをもらって困る…」なんてリスクも回避できる、非常に“合理的”な仕組みです。
でも、日本人から見るとこれがちょっと味気ないようにも感じられますよね。
「相手のことを思って悩む時間もプレゼントの一部」なんて感覚とは真逆。
ある日本人女性が語ってくれたエピソードでは、アメリカ人の彼のいとこの結婚式に招かれたとき、招待状に「登録はこちら」とAmazonリンクがドンと貼ってあって、思わず笑ってしまったとか。
とはいえ、実際贈る側も選ぶ時間を短縮でき、贈られる側も欲しいものが確実に手に入るので、効率の良さはピカイチ。「気持ちより実用性!」なアメリカらしい文化と言えそうです。

🇫🇷フランス編:バラは何本?色にも要注意!花に込める“隠されたメッセージ”
フランス人にとって「花」は、ただの装飾品でも、なんとなく贈るものでもありません。花は“言葉”であり、“感情”のメッセージ。
だからこそ、贈るときには「本数」や「色」に細心の注意を払います。
たとえば…
- 赤いバラ🌹=情熱的な愛
- ピンクのチューリップ=優しさと気品
- 白い菊=…え?フランスでは「死者への花」なんです!
そう、日本では「清楚でお祝いにも合う」と思われがちな白い花も、フランスでは“お悔やみ”のシーンで使われるもの。知らずに贈ってしまったら、逆に場の空気が凍るかもしれません。
さらに、本数にも暗黙の意味が。
1本=「あなたしかいない」
12本=「結婚してください」
13本=不吉とされ避ける…などなど。
ある日本人留学生が、フランスで誕生日プレゼントに白い花束を贈ったところ、「あれ?誰か亡くなったの?」と真顔で聞かれ、心底焦ったという話も。
でもそれくらい、フランス人にとって「贈る花」は“文化”であり、”詩”でもあるんです。
おしゃれなフランス人の繊細さとロマンチックさが、ここにも垣間見えますね。

🇮🇹イタリア編:香水と詩で愛を伝える!?ラテンの国の“濃厚”ギフト文化
「プレゼントに詩って、まさかジョーク?」
いえいえ、それがイタリアでは“本気”なんです。
イタリアでは、恋人へのプレゼントに「自作の詩」や「手書きのラブレター」を添えるのが珍しくありません。そこに香水やアクセサリーが加われば、それはもう“イタリア流愛の儀式”。もらった側も泣き笑いするほどの情熱がこもっているんです。
ある日本人女性がイタリア人の彼からプレゼントされたのは、
「香水(自分のお気に入りのブランド)」と、「あなたと出会った日から、心の時計が動き出した」というフレーズで始まる直筆の詩。
最初は笑ってしまったそうですが、読み進めるうちに目が潤んできたとか。
“なんか、ずるい!”と感じるくらい、甘くて深い、けれどどこか誠実。
ちなみに、香りにこだわるイタリア人は、自分の香水をプレゼントする=「私を感じていてほしい」という意味合いを込めることも。日本とはちょっと感覚が違うけれど、なんともロマンチックですよね。

🇰🇷韓国編:カップル記念日多すぎ!?100日ごとにペアルックとサプライズの嵐
韓国のカップル文化を語る上で外せないのが、「100日記念日」。
付き合い始めてから100日目、200日目、300日目…と、なんと100日ごとにお祝いをするという、記念日の多さ!
しかもそのたびに、プレゼントやサプライズがセットで用意されるのが一般的。
日本では「1年記念で十分じゃ?」と思ってしまいそうですが、韓国ではこの“こまめな記念日”が、愛を確認し合う大切なイベントなのです。
人気のプレゼントは、ペアルックのパーカーやスニーカー、ペアアクセサリーなど。
とくに10代〜20代前半のカップルには、SNS映えを意識した“おそろい文化”が根強く、「これ着て写真撮ろ!」という流れまでがテンプレ。
ある韓国人女性は、「100日記念に彼氏がパジャマとヘアバンドをペアで用意してくれて、家でおそろいコーデして写真撮った。シンプルだけどめっちゃ嬉しかった!」とSNSに投稿して話題に。
また、韓国では「サプライズ=愛情の証」とされる節があり、彼女が欲しがっていたリップや香水をこっそりリサーチして渡す…といった“察し力プレゼント”も人気です。
100日ごとに、愛を“アップデート”していく感覚。
恋に対して、とことん情熱的で、ちょっと可愛い。そんな韓国のギフト文化は、見ていてこちらまでときめいてしまいます。

🇩🇪ドイツ編:質実剛健すぎて逆に感動!?“中身より包み”なギフト文化
ドイツのプレゼント文化に触れると、多くの人が驚くのがこの一言——
「贈り物は包みからが本番」。
贈り物を渡すとき、ドイツ人はとにかくラッピングに全力を注ぎます。とはいえ、日本のように派手でカラフルな包装というよりは、ナチュラルでセンスのある、そして“再利用可能”な素材が好まれます。
麻紐にクラフト紙、落ち葉や木の実をあしらったリボン――
エコロジーと美しさの両立こそが、ドイツ人の“贈る美学”。
とあるドイツ在住の日本人が、誕生日に友人からもらったギフトには、中に手作りクッキーが5枚だけ入っていたとか。
でもそれを包んだ木箱には手書きのイラストとリサイクルペーパーのラッピング、開けた瞬間「この人の“時間と心”をもらった」と感じたそうです。
また、受け取る側も「包み紙を捨てずに大切に保管しておく」のが一般的。
「包み=思い出」なのです。
豪華さより“心の深さ”。ドイツのギフト文化には、「モノが主役じゃない」ことを改めて気づかせてくれる、不思議な温もりがあります。

🇮🇳インド編:金のブレスレットが当たり前!?結婚式は“贈り物の戦場”
インドの結婚式といえば、カラフルなサリー、大音量の音楽、何日も続く祝宴…
そしてもうひとつ、とにかく“ギフトの桁”が違う!
日本ではご祝儀の3万円が相場ですが、インドでは“金のアクセサリー”や“家電製品一式”なんてことも珍しくありません。
ある現地体験者によると、親戚の結婚式に招かれた際、周囲が持ってきていたのは、
・24Kのバングル
・大型テレビ
・冷蔵庫
などなど…。一見して「これ引っ越し祝い!?」とツッコミたくなるレベル。
しかもこれは“祝福”であると同時に、「うちもこれだけ出せる経済力があるんだぞ」という“ステータスアピール”の意味もあるのです。まさに、ギフトが“富の象徴”になっている文化。
当然ながら、贈る側も気合いが入ります。
インド人の友人曰く、「予算よりも“見た目と印象”が大事」とのこと。包装も豪華な布地や刺繍を使い、“神様への奉納品のように”整えられることも。
ただ、最近では都市部を中心に、現金+小さめのジュエリーで済ませる人も増えており、少しずつカジュアル化も進行中。それでも「モノより気持ち」とは言い切れない、“贈り物は力の証”という価値観は根強いのです。

🌍【まとめ】“贈り物”は、言葉よりも雄弁だった。
日本で当たり前と思っていたプレゼントの常識。
でも一歩、国境を越えれば、その意味も形も、驚くほど多様で、驚くほど人間らしい。
アメリカでは「欲しいものをリスト化」、フランスでは「花に言葉を込め」、イタリアでは「愛を香りと詩で語る」。
韓国の若者たちは「100日ごとに愛を確かめ」、ドイツでは「包みに心を込め」、インドでは「金の輝きに誇りを乗せて」。
文化が違えば、感動のカタチも変わる。
でも、共通しているのは、「誰かを想う気持ちを、カタチにする」ということ。
それが、どんなにラッピングされていようと、どんな言葉が添えられていようと――
プレゼントはやっぱり、“贈る人の心”が一番うれしいのです。